青少年育成県民会議 事業案内

第31回少年の主張 福島県大会 優良賞


チョコレート


福島県郡山市立郡山第三中学校三年 向田 芽以


私が、「フェアトレード」という言葉を知ったのは、学校の道徳の授業だった。「フェアトレード」というのは、「公正取引」「公平貿易」ともいわれ、発展途上国の底辺で働く人達が貧困から抜け出せるように、つくられた製品をその労働に見合うだけの価格で買い取ろうという運動である。それは、私自身も大好きなチョコレートと深い関係がある事を知り、興味を持つようになった。

チョコレートの原料であるカカオ豆は、児童労働により、栽培、収穫されているという。その子供たちは、だまされたり、親に売られたりしてカカオ農園に連れて行かれるのだ。二00四年に出された国際労働機関のレポートによると、西アフリカのカカオ農園千五百か所を視察したところ、開墾、農薬散布、収穫などの仕事に二十五万人以上の子供たちが従事していて、その三分の二は十四歳以下である。多くの子供たちが一日十二時間従事させられ、学校に通っていない。一部の子供たちは人身売買により、奴隷としてカカオ農園で働いている証拠も見つかっているという。

私は、しばらくその話を信じる事ができなかった。「人身売買」や「奴隷」など、歴史の教科書の中での出来事だと思っていたし、今まで当たり前にチョコレートを食べていた自分が恥ずかしくなった。甘くておいしいチョコレートの裏に広がる世界は、とても悲惨なものであり、カカオ豆というのは、貧しい子供たちの、血と汗の結晶だったのだ。

そういう子供たちのために、私ができる事は何だろうか。その時ふと思い浮かんだのが、「フェアトレード」だった。フェアトレードのチョコレートは、普通のチョコレートよりも値段は高くなってしまう。それは、高くなった分はしっかりと労働者に賃金が支払われるからだ。しかし、実際にフェアトレードが普及し始め、児童労働から解放された子供もいると聞いたことがある。少しずつではあるが、奴隷のように働かされる子供が減っていくのではないだろうか。

しかし、同時に「フェアトレードは本当にいいものなのか」という疑問が生まれた。

現在、世界の経済は資本主義で成り立っている。資本主義というのは、勝ち組と負け組がはっきりしている。現在の勝ち組をそのままに、負け組を救済するのは、無理があるのではないのだろうか。

また、「フェアトレード」以外にも、私たちにできることがあるのではないだろうか。例えば、荒れた南アフリカの地に、潤いを与えるという、国際協力機構の活動だ。また、働かされて学校に行けない子供たちのために学校をつくり、勉強してもらう。そうすれば将来は南アフリカの経済が発展していき、今のような奴隷のように扱われる子供が減っていくはずだ。

したがって、「フェアトレード」だけがいいものだと言い切ることはできないのではないだろうか。

私たちは、日本というとても豊かな国に生まれた。しかし、日本人は、自分のことだけを考えて、世界についての関心が薄すぎると思う。実際に私も、チョコレートの元をたどると発展途上国の児童労働である事も、フェアトレードという言葉さえも知らなかった。フェアトレードの商品を買うことよりも、発展途上国で働く人々に同情をするのよりも先にすべき事は、「周りを見わたす」ことだと思う。視野を広げて様々な場面を知ることによって、次の行動にうつることができるからだ。

一人でも多くの子どもたちの明るい未来のために、私自身も世界の状況を知り、「今できることは何か」を考えて生きていきたい。