青少年育成県民会議 事業案内

第31回少年の主張 福島県大会 優秀賞


負の遺産から学ぶこと


いわき市立平第一中学校 坂本 紫緒里


傷だらけの建物、傷だらけの人々、傷だらけの心。私は数年前、「負の遺産」の存在を知りました。原爆ドーム、アウシュビッツ強制収容所。世界が誇る美しい世界遺産の中には、このように傷を負った当時の痛々しさが残る建物があります。

「なぜ世界の宝物の中にこんな傷だらけの建物があるのだろう?」

当時の私はそんな疑問を抱いていました。本を開けば、金閣寺やベルサイユ宮殿など美しいものばかりなのに…。私は不思議で仕方がありませんでした。傷だらけの建物からは、今でも人々の憎しみと悲しみの叫びが聞こえてきます。

皆さんちょっと考えてみてください。もし隣に座っている友達も先生も一瞬にして消えてしまったら……そして自分自身さえ消えようとしていたら……。

この春私は、修学旅行で原爆投下地の長崎を訪ねました。体も骨もない。その人が存在していたことまでもが一瞬にして消えてしまう。それが原爆の被害です。「存在までを奪う」それが悲しいことに過去に起きているのです。

原爆資料館には直視できないような悲惨な姿の写真や原爆の恐ろしさを物語る溶けて形の変わったラムネの瓶や止まったままの時計などがところせましと並べられていました。そして、被爆体験者のお話を聞くこともできました。原爆によって死にゆく人々のうめき声の様子など、鳥肌が立ち、目の前が真っ暗になるようなお話しでした。

世界で日本で広島・長崎でそして私たちの住んでいるこの町でも戦争で苦しんだ人たちがたくさんいたのです。今、日本という国は平和です。しかし過去に悲惨なことがあったことは事実です。戦争があっての今なのです。そういった過去の過ちを理解し、受け継いでいく。「負の遺産」には、そんな思いが込められているのではないでしょうか。

皆さんの考える平和、明るい社会とはどんなものですか。「そんなのあり得ない」そう考える人もいると思います。確かに一人一人が納得のいく世界なんかあり得ません。

人は、それぞれに心があり求めているものも求めていることも違います。だからこそ個人の意見があり、食い違いすれ違うのです。一人一人が違うからこそ相手のことを認め合わなくてはならないのです。

今の日本の社会もたくさんの国、たくさんの人の意見を取り入れて成り立っています。家族も学級も、元をたどれば、一人一人の意見を取り入れて成り立っているのです。例えば隣に座っている人の意見に耳を傾け、話を聞いてあげる。そんな小さなことが世の中にとって大切なことなのではないでしょうか。

人と人とが分かり合い、互いを認め合い、過去を知り悲しみを伝えていく。それが今を生きる私たちにとって大切なことであり、そうやって生きていくことが、私たちの望む明るい社会を作る第一歩だと私は思います。