第31回少年の主張 福島県大会 優秀賞
逃げない勇気
相馬市立中村第一中学校三年 高山風優香
「今のあなた達は、自分と本気で向き合っていないだけ!嫌なことから逃げて、上手くなれるはずがないでしょ!」
顧問の先生の言葉に、私たちは、「はい!」と答えることしかできませんでした。どうしたらいいか分からなかったから、必死に声を張り上げることで、先生の気持ちに応えようとしたのです。
それは、去年の冬、吹奏楽部の練習中のことでした。頼りの三年生が引退して、バンド内は技術面でも、精神面でもうわついていました。
「自分と向き合いなさい」
一年生の時からずっとお世話になっている、大好きな顧問の先生の口癖でした。向き合う?自分と向き合うって、どういうこと?私はこんなにも努力しているのに。そう思ったら悔しくて、なんだか寂しくなりました。
そこで私は、思い切って先生に聞いてみました。「自分と向き合うって、どういうことですか?」先生は少し笑って答えてくださいました。
「例えば、嫌なことがあったら、まず自分の中に原因を探す。今の状況を周りのせいにするのではなく、まず自分の変えるべき所を見つける。自分と向き合うということは、成長するために必要な事だと思うよ。」
自分の中に原因がある……?私が悪いという事でしょうか?自分の非を認めること。分かっていてもやりづらいことです。できるなら、誰かのせいに、何かのせいにしていたい。しかし、そうやって逃げて、誰かのせいにして、状況は変わるのでしょうか?私は先生のおっしゃった言葉を、よく考えてみました。
私には、嫌なところがたくさんあります。その場しのぎに普通の顔をして嘘をつくし、言いたいことをため込んで、本当に仲間を頼るということができません。言われたことをきちんとやらないことだってあります。
今まで私は、そんな自分自身に見て見ぬフリをしてきました。しかし、こういう自分の嫌な部分と向き合わないでいたら、どうなってしまうのでしょうか。注意される、なんとなくごまかす、また注意される、またごまかす……。そんなことを延々と繰り返していたら、成長するどころか、どんどんずるい人間になってしまう気がします。
先生に指導をされた時だって、私は自分の行動を振り返りもせず、「後輩が練習しないせいだ。そのせいで私たちまで怒られた」という気持ちがありました。でも、後輩に嫌われたくなくて、優しい先輩を気取って、練習しない、上達しない後輩を指導しなかったのは私です。それに気づいた時、情けなくて、後輩に申し訳なくて、悔しい気持ちになりました。でも、ダメな自分に気づいたからこそ、変えていけるのです。よし!後輩たちと一緒に、頑張ろう。目指すは全国大会!
「自分と向き合うということは、成長するために必要なことだと思うよ。」
今なら先生のおっしゃった言葉の意味がよく分かります。
これからも自分と向き合わなければいけない場面が何度もあるでしょう。その度に、目をそらしたい、自分の中の嫌な部分と直面するでしょう。
でも、その時こそ逃げないで、そんな自分を変える勇気を持っていたい。
必ず、痛みに成長は伴ってくると私は信じます。私たちは、その痛みに負けていてはいけないんだ。
どんなことにも、そして自分自身にも、真正面から向き合える。私は、そういう人でありたいと思います。









