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「大人が変わるためのセミナー~親の心構えについて」第3回目の報告

福島県青少年育成県民会議


日 時   平成21年1月18日(日)13時30分~15時00分
場 所   福島県青少年会館第3研修室
参加者   50人
内 容   講 演『幼児の食育から子育てを考える』
講 師 ヘルスアドバイザー 植松みち子氏
意見交換会

◎上遠野 和村 福島県青少年育成県民会議常勤理事 挨拶

◎浜島京子教授の講演概要


1 はじめに

3か月児健診から介護認定審査会委員まで関わっている。職場の健康相談に行くと、毎年同じ方が相談に来る。身に付いた生活習慣はなかなか変えられないようだ。入社時健康診断でも半分の人が再検査で、どんな食事をしてきたのか心配だ。離乳食や幼児期からの食生活がいかに大事なものか。『食育基本法』もでき、食育が生きる上での基本となるものと考えられるようになった。


2 「食育とは」

食育とは知育、徳育、体育の基盤となるもので、健全な食生活を実践することができる人間を育てることである。

(1) 乳児期は一生のうちで一番発育が盛んな時期で、1年で体重が3倍になる。子どもと親を結ぶ絆としての食事(目を見つめながらおっぱいをあげるなど)が大事である。

(2) 幼児期は乳児期に次いで成長する時期であるが、まだ消化機能が不完全である。偏食、好き嫌い、むら食いなどが起こりやすい時期、食習慣の基礎づくりとしての食事として重要である。

(3) 学童期は乳歯から永久歯に生え替わる時期である。この時期は、骨が太く硬くなり、男らしく、女らしく成長する時期でもある。食習慣の完成期としての意味を持つ。


3 食をめぐる現状

(1) 肥満・生活習慣病の増加

最近の20~30年で肥満や生活習慣病が増加した。生活習慣病は長年の生活習慣の積み重ねで少しずつ危険性が高くなっていく。平成20年から40歳以上の人にメタボリックシンドロームの検査が義務づけられた。これは、お腹周りの脂肪から出る物質をチェックし、がん、心臓病、脳卒中などの予備軍を見つけるためである。食生活のみだれ等の原因により、40~50歳になり眠っていたものが表面に出てくる。

小さいうちに肥満になると、細胞自体が大きくなるためなかなか改善せず、2/3程度は肥満になる。栄養バランスの乱れ、くずれ、運動不足などが原因と考えられる。


1日成人1人当たりの摂取カロリー

  昭和35年 昭和55年 平成16年 平成22年目標値
成人1日の摂取カロリー 2,291cal 2,560cal 2,562cal  
うち 炭水化物(米) 76% 61.5% 58.2% 60%
タンパク質(肉・魚) 12.2% 13% 13.1% 13%
脂質(バター・サラダ油) 11.4% 25.5% 28.7% 27%

タンパク質、特に肉が増え、油の使用も増えた。日本人は米と野菜中心の食事だったので、体質的に肉を分解するのが上手ではない。長寿は日本食のおかげ。それが変わってきている。年老いた親が子どもの面倒をみる、そんな時代になるのではないか? 平成22年目標値にするためには、

・魚を増やして肉・油を減らす
和食にする
・米・野菜を食べる

(2) 朝食

朝食を食べない子が多い。朝ごはんを食べると良いことがたくさんある。

(1)お米がブドウ糖に変わり、脳や身体を元気にする。(2)体温が上昇して、活動しやすくする。(3)基礎代謝が変わって太りにくい体質になる。(4)排便をうながす。

食べない理由が「時間がない」「食欲がない」といった大人のような回答だった。

あいさつができないなどのマナーの乱れも、ひいては食習慣の乱れにつながる。箸の持ち方を注意してもらえるのも、まわりに人がいて教えてくれるからである。

(3) 6つの〈こしょく〉

  1. 個食…同じテーブルで各々好きなものを食べること
  2. 孤食…1人で食べること
  3. 固食…自分の好きなものだけ頑固に食べること
  4. 小食…食べる量が少ないこと
  5. 粉食…めん、パン類といった粉系中心のものを食べること
  6. 濃食…味もみないでしょうゆやソース・マヨネーズをかけ、濃い味つけを好む。

(4) 睡眠

夜10時以降に寝る子の割合が昭和55年と比べると倍以上に増え二人に一人となっている。寝不足で、低体温、肩こり、食欲がない大人と同じ症状を訴える子どもが多くなった。生活のリズムをつくることが大事。


4 子どもの味覚の発達と脳の発達

(1) 味覚を育てる

1歳ぐらいで自分で栄養を摂るようになる。人間が本能的に好む3つ(甘味・旨味・塩味)の味覚は他の味よりも先に発達する。だからこればかり先に与えてしまうと、脳にインプットされて、いろいろな味を覚えられない。

味覚は育てるものである。子どもの舌は真っ白いノートにたとえられる。濃い味付けをした食事をあげると舌の感覚は養われない。最初はできる限り薄味で、白いノートに書き込んでいくとよい。

味覚は脳の発達と比例しているので、「つ」のつく年齢である九つまでに教えるとよい。出生時の脳の大きさは350g、1歳で900g、3歳1120g、6歳1250g、大人で1,400gになる。小学校高学年までに大人と同じ大きさになるのでそこまでが味覚も勝負。

離乳食の時から「これおいしいのよ!」と目を合わせて話しかけながら食べさせることが大事。今の子どもが目を合わせるのを怖がるのは小さい時からやっていないからではないか。


5 この時期に心がけたいこと

(1) 味経験を豊かに

  • バランスの取れるようなものを与える
  • いろいろな食材に幅広くふれさせる
  • 薄味で(1歳までは塩・しょうゆを使わない)
  • 酸味・辛味は避ける

(2) しっかり噛む習慣をつける

  • 唾液をしっかり出す→殺菌作用
  • 脳の働きを活発にし胃腸の消化を助ける。肥満防止。歯を丈夫にする。

(3) 家族いっしょの食事を大切に

  • 親子の会話、コミュニケーションが大事
  • できることを手伝ってもらう
  • 自分も役に立っているという意識
  • 生まれてきて良かった!という思い

  • みんなで食べた方がおいしい。
  • 「満腹」ではなく「満足」を大人が変わることで子どもたちが後を追ってきてくれる

◎ 質疑・意見交換

(Q:2児の母)

  • 給食の子は良いが、保育園にお弁当持参の子が、朝、自分で弁当から緑の野菜を取ってしまう。どうしたらいいか?

(A:植松先生)

  • 幼くてまだ経験不足なのだから、食べられないものを弁当で無理強いはしないように。入れる時は、野菜と分からないように入れる工夫が必要。
  • 家での食事の時に、好きなものの中に小さくして入れてやる等の工夫をする。
  • 基本的には、まず腹を空かせること。食べなかったら下げること。お腹がすいたら食べるので、いつまでも食事を出しておかないようにする。今は、いつでもお店が開いていて好きな時に食べられるのが子どものためにはどうか?

(Q:子育て経験者、男性)

  • 食育は大人の責任である。食育だけでなく、学んだ事の証は行動が変わることである。知識として知っていることを、実行することが大切。このセミナーがきっかけになればいいと思う。
  • 自分たちの実践や経験をみんなに伝えていくことも大事である。

◎ 植松先生の具体的で明快なお話しに加え、参加者の皆様も率直に話をされて、本当に充実したセミナーになりました。3回シリーズのまとめとしても意義のある内容になったと思います。関係の皆様に心から感謝申し上げます。